くら寿司 最新情報!くら寿司の労働環境

NewsPicksから引用しました。

 

 大手回転すしチェーンのくら寿司では、これまでに内定辞退強要疑惑や、アルバイトスタッフによるSNSへの不適切投稿など、何度か労務トラブルが起きている。

 そして先日、大きく話題になったのが4月に山梨県で発生した、くら寿司店長の焼身自殺事件だ。これは『週刊文春』によると、くら寿司店長が上司のスーパーバイザーから日常的にパワハラを受けていたことを苦にし、勤務していた店の駐車場で自動車ごと焼身自殺していたというものだ。

 


くら寿司の看板

 『週刊文春』は本件の第一報を出した後、6週連続で「上司から部下への暴言、罵声、物を投げつける、襟首をつかんで引きずるなどのパワハラが横行」「社会保険加入を希望するパート社員に『枠が一杯だから入れない』と拒否」「暴言に悩んで労基署に相談した社員を『要注意人物』として辞めさせるよう仕向ける」「『人件費を抑えろ』との会社圧力のため、繁忙期は店長が自腹でバイトを雇う『自爆雇用』が横行」「未成年者を22時以降まで深夜労働させる」などの違法性が疑われる不祥事を報道している。なお、文春の取材に対してくら寿司側はいずれも事実関係や自社の責任を否定している。

 


 報道と会社側の見解が真っ向から食い違っているが、同社の内情とはいかなるものなのだろうか。筆者は、くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員に、同社の労働環境などについての実態をインタビューした。この元店長は2010年代半ばからアルバイトを開始し、約6年ほどくら寿司で勤務した。なお、元店長の発言は当時働いていた内容に基づくものである。

 インタビュー内容を紹介したうえで、当該社員が指摘する同社の問題点と、これまでに報道があった同社内における不祥事や違法性が疑われる行為の数々をひもとき、法的に「何が違法で、何が問題なのか?」を解説していきたい。

 もし読者諸氏が勤める組織において、本稿と同様の問題が発生している場合は、被害が拡大する前に対処することを強くおすすめする。

 

くら寿司

──アルバイト、新入社員、店長と経験された中で、立場ごとの違いはありましたか?


 入社後、店長になるまでの一般社員の間であればシフト制で残業もしっかり管理されていて、想像していたよりも楽でした。しかし店長として管理する側になると急にキツくなる。管理監督者として裁量権を渡され、自分のシフトも残業も自分で管理することになるのですが、よほど忙しい店舗でない限り1店舗あたりの社員は店長だけか、いてももう1人くらいなので、結局店にいないといけなくなるんです。

──管理監督者として、裁量と合わせて相応の報酬もあればいいですが……。

 長時間労働でオーバーワークの割には、給料は安いです。ボーナスがない立場もあるので、トータル的に満足度は低かったですね。年齢関係なく完全実力主義なので、確かに、頑張れば給与は上がる。ただその分勤務時間も長く、店長以上になるとみなし残業になるので残業代はほぼなくなります。退職金もないですし。

 厳密には、店長以上にはボーナスがあるのですが、期末の営業利益目標達成で給与1カ月分程度の報奨金が出るくらい。残業は45時間を超えないように、と指示がありますが、最終的に超えそうになると勤怠を打たずに業務継続することになります。残業をつけないと、部下の一般社員より給料が低くなることもありました。

 スーパーバイザー(SV)以上の役職になると年収も高くなりますが、これまで見てきた例からすると、かなりの体育会系か、本当に仕事が好きか、社畜になりきらないとなれません。


【独自】くら寿司元店長が語る労働環境 「休みは取れず、上司は壁をたたきながら……」

くら寿司にアルバイトとして入社し、その後社員として店長まで勤め上げた元社員にインタビューを実施した。当時の働き方を聞くと、違法性が疑われる労働環境が明らかになった。くら寿司で何が起きているのか?


─“体育会系”というキーワードが何度も出てきますが、そのような風土によって大変だと感じられたことはありましたか?

 “体育会系”が悪口のようになってしまうのは不本意ですが、長時間労働が慢性化している中で、指導や注意の際に上司や店舗のリーダーから怒鳴られたり、作業台や壁をたたきながら高圧的な言動をされたりするのが日常茶飯事で辛かったですね。

 あと3カ月に1度くらい、自分の管理する店舗に、SVとかエリアマネジャー(AMG)など幹部が巡回で来るんですが、「ああしろ」「こうしろ」と怒鳴られながら仕事をするのも大変でした。人を大切にしない会社は成長できないと思います。

 


 「社員と従業員(アルバイト・パート)が交際してはいけない」という社内ルールがあって、一緒に食事に行くことさえ禁止されているんですが、実際にはSV・AMG・マネジャー(MG)などの幹部は従業員と交際していたり、結婚していたりするんです。でも平社員の交際が発覚すると事務所に呼び出されて怒られる。理不尽でしたね。

 休みも少なくて、社員は冠婚葬祭以外は基本的に休みを取れないんです。葬式休みの際は死亡証明書の提出が必須。連休なんて到底無理です。そして休みの日でも携帯が鳴りやまず、全然休んだ気になりません。クレームが入って対応できる者がいなければ休み返上で出勤。学生バイトの無断欠勤などがあるときも出勤になってしまいます。

──大変な労働環境だったのですね。一方で、仕事のやりがいや、仕事を通して成長を感じた点があれば教えてください。

 1店舗あたり、アルバイトやパートも含めると100人近い人が勤務しています。1人1人の要望に応じてシフトを作成したり、若い方から年配の方まで幅広く多くの人とコミュニケーションを取れるようになり、運営や何かの目標に達成した時の達成感は大きいですね。

 何千人もの、さまざまな世代の方とかかわってきたので、コミュニケーション能力が上がり、人見知りはなくなりました。店長になってからは従業員さんや社員を教育・指導する立場になり、人の指導のやり方や物事の伝え方を学ぶこともできました。

 


 アルバイト経験がないと入社後覚えることがとても多く、苦労する。店長の力で店をつくって行かねばならず、難しい人や合わない人がいても一緒に働いていくしかありません。そういったところで人間的に強くなれて、成長につながるかもしれないですね。

くら寿司からは回答なし

 インタビューの内容について、くら寿司に事実確認を行ったが期限の6月20日までに回答はなかった。

 


くら寿司の労働環境の違法性は?

 インタビューをお読みいただき、「これくらいの労働環境ならウチも大して変わらないな」「ウチの方がもっとひどいぞ!」などと感じられた方がおられれば、その会社は要注意だ。

 上記インタビュー内だけでも、違法と疑われる要素が複数存在しているからである。

(1)45時間の「みなし残業時間」を超えた場合の残業代の扱い

 みなし残業時間を設定すること自体は合法で、何時間設定しても本来は自由である。しかし、労働基準法32条において労働時間は「1日8時間・週40時間」と決められており、それ以上に残業させる場合は労使間で36協定を結ばなくてはならない。そこまでは読者諸氏もよくご存じであろう。