ガスライティングとは?(Googleから引用)

ガスライティングとは、些細な嫌がらせを行ったり、わざと誤った情報を提示し続けたりすることで、被害者が自身の記憶や知覚、正気などを疑うよう仕向ける心理的虐待の手法。DV(家庭内暴力)の一種として取り上げられることが比較的多く、2018年にはイギリスで流行語となり、一般的に定着した。

この言葉は、1938年に製作され、1944年には映画にもなったアメリカの演劇作品『ガス燈』に由来している。この作品の中では、虐待的な夫が家の中の物を動かしたり奇妙な音をたてたりすることで妻の正気を失わせようとし、気づいた妻がその点を指摘しても、夫は「妻の勘違い」だと主張し続け、追い込んでいく様子が描かれている。

ガスライティングが起こる場面と目的
ガスライティングが起こる可能性があるのは、上司と部下、もしくは恋人同士などのように「上下のある関係」や、会社や家族、部活、友人関係の輪などの「上下関係のある集団内」などである。

前者のように個人が単独で行うケースもあれば、後者のように集団で行われる場合もあり、その場合その行為は「いじめ」の一種であると言える。ガスライティングの被害者になりやすいのは女性であることがわかっているが、誰もが被害者になる可能性もある。

ガスライティングの目的は、一時的に相手を嫌な気持ちにさせることではなく、最終的に相手を「破滅」させることにある。ここで言う「破滅」とは、被害者を精神的に追い詰めて自殺させることや犯罪に走らせること、また特定のコミュニティや職場で孤立させたり、追い出したりすることだ。 恋人や夫婦の間では、相手を自発的に自分に服従させ、加害者から離れられなくするために行われるケースも多い。

ガスライティングの手口
ガスライティングの加害者は、露骨な嘘をついたり、自分の過去の発言を否定したりすることで被害者を惑わせたり、周囲の人が被害者に反感を持つよう立ち回ったりと、あらゆる方法で被害者を精神的に追い詰めようとする。また、被害者の物を勝手に移動させたり、パソコンの設定を勝手に変更したりしたうえで、それらについて知らないふりをするといった行為もガスライティングのよくある手口である。

これに対し被害者が加害者に説明を求めると、加害者は被害者に対し、「頭がおかしい」「普通じゃない」「お前の記憶が間違っている」といった言葉をあびせ続ける。それによって被害者の感情は封じ込められてしまい、精神に異常をきたしてしまったり、場合によっては、その過程で加害者に依存していったりするようになる。

ほかにも、以下のような行為はガスライティングの手口にあたる。

物事を何かと被害者のせいにする
被害者の日用品の中身を入れ換える
日常生活に不自然なことが頻繁に起きているように見せかける
音や臭いで不快感を与え続ける
被害者が「勘違いだった」と思うようなことを頻発させる
偶然を装って何度も道で被害者と遭遇する
ガスライティングに関する法律
ガスライティングが社会に広く知られるようになったことで、これに対する法律も整えられてきている。たとえば、イングランドおよびウェールズの「重大な犯罪法(Serious Crime Act)」は2015年に改訂され、ガスライティング行為は罰金刑、または最高5年まで懲役刑に科せられる。

しかし、ガスライティングは、相手が行ったことや、こうした行為を受けたことを証明するのが非常に難しい嫌がらせであることが問題となっている。

上記の法律では、被害者が少なくとも2回は「身体的暴力によって脅されている」と感じていること、または「加害者の行動が日常生活に深刻な影響を与えている」ことを立証する必要がある。ガスライティングは、明らかな窃盗や暴力行為は行わず、被害者にしか分からないような嫌がらせである。そのため、被害として非常に証明しにくい。その証拠に、2017年にイングランドおよびウェールズガスライティング行為により起訴された被告の半分以上に無罪の判決が下っている。

ロンドンを拠点とするチャリティ団体「Solace Women’s Aid」で「女性の回復啓発プロジェクト」を担当するアネット・トフェル氏は、「ガスライティングは、加害者が長い時間をかけて少しずつ導入していく傾向があるため、特定するのが非常に難しいのです」と解説している。

上記に加え、ガスライティングの有無を特定することはその被害者ですら難しく、被害を受けている人は自分の感覚を疑い、疑心暗鬼の状態のまま誰にも相談できずに我慢し続けてしまうケースも多い。

ガスライティングへの対処法
以下のような症状が自分にあったり親しい人が持っていたりする場合は、ガスライティングの被害を受けている可能性を検討する必要がある。

いつも謝りたいという衝動に駆られる
自分には何もできないと思っている
思考や意思が支配されている気がする
神経質、不安、心配などの感情が頻繁に起こる
自分は繊細すぎるのではないか、と常に考えている
自分らしさを失っているような、自分らしさとの乖離を感じる
物事がうまくいかないとき、自分が悪いと思い込む
何が問題なのかはっきりしないが、何かがおかしいという感覚が続く
絶望感、焦燥感、感情麻痺が続く
ガスライティングの被害にあっていることがわかったら、それが起きている集団やコミュニティを避けることや、どうしても避けられない場合は、弁護士やガスライティング対策の専門家、民間のカウンセリング機関などに相談することをおすすめする。近年ガスライティングへの認知度は高まってきているため、周りの人に相談して取り合ってもらえなくても、諦めずに専門知識のある人を頼ることで、解決策が見つかるかもしれない。

まとめ
ガスライティングは非常に悪質な嫌がらせの手法であり、ひとつの社会問題でもあると言える。被害に合う人が一人でも減ることを願うとともに、少しでもガスライティングについての知識を持つことで、自分や周囲の大事な人を守ることにつなげたい。